こんばんは、大瀧です。

今回は久しぶりに声の訓練法に関するお話をば。(※声の教室です)

 

きっかけになったのは、ある生徒さんとの会話中に出てきた、こんなお話。

 

「以前通っていたボイススクールなんですけど、

 レッスンの最初に必ず腹式呼吸をやらせるんですよ。

 リラックスするような曲を聴きながら、まず息をゆっくり吐き切って、

 そこから息をお腹に入れるイメージで自然に息を吸う。

 胸郭は動かさないように気を付けながら、この呼吸を5分くらいやってからレッスンに入る。

 これって効果あったんですかね?」

 

「精神をリラックスさせる効果はあるかもしれません。

 しかし、発声器官を活発にさせるには、適度な(軽い)興奮状態が必要です。

 その観点から考えると、これから発声練習をやろうというのに5分もやる意味はないでしょう」

 

腹式呼吸…

10年くらい前には、私も効果を信じて練習してたもんですが、それも今は昔。

それまでやっていた呼吸法の練習が、声のためには役に立たないどころか

逆効果だった事を知ってから、パッタリ止めて現在に至ります。

「知らない」というのは、やはり恐ろしいものです。

 

そもそも、呼吸の時の呼吸筋の使われ方と、発声における呼吸筋の使われ方は

根本的に違うのです。

発声時は、呼気筋(息を吐く際に使われる筋肉群)と吸気筋(息を吸う際に使われる筋肉群)

綱引き関係でバランスを取りながら使われています。

両方でバランスを取る事で、呼気の流出量を非常に少なく抑えています。

声帯というのは非常にデリケートな器官であり、母音の発声時、呼気の圧力を高めて

流出量を増やそうすると、声のコントロールが悪くなります。

大抵の場合、声帯の閉鎖を強め過ぎて、つまり喉を詰めた声になりがちです。

声のためには、呼気の流出量が極力少なくなるような表現テクニックを学ぶ必要があります。

(※子音の発音時は、瞬間的に流出量の増える時あり)

 

それに対して呼吸時は、空気の入れ替えが目的なので、

吸う時は完全に吸気筋が主役になり、吐く時は完全に呼気筋が主役になります。

こうした生理反応があるので、意識しなくとも呼吸が止まる事はないのですね。

「腹式呼吸」と多くの人が一般的に呼んでいるような呼吸法の練習では、

準備運動代わりにはなるかもしれませんが、発声時の呼吸筋の使われ方は学べません。

よって、発声のために取り入れていた訓練だとしたら、

そればかりをやっているようでは全く的外れな訓練と言えます。

 

「腹式呼吸」に関する最も重大な問題は、

同じ「腹式呼吸」という言葉を使っているにも関わらず、

その定義が各研究者によって見事にバラバラな点です。

これが学ぶ側に大きな混乱をもたらしているのは、言うまでもありません。

OSAでは、この点を加味して「腹式呼吸」という言葉は敢えて使っていません。

音声生理の観点から見た、声のための正しい呼吸筋の使われ方を、

生徒さんが自然に体得出来るよう指導しております。

もし、このような練習方法を指導者に指示された場合、この記事の内容と照らし合わせながら

「何故やるのか?」

「具体的にどんな効果が臨めるのか?」

を先生に確認してみてくださいね!

 

次回予告!

「ボイストレーニングでありがちな間違い 『口を大きく開けて』編」

お楽しみに!

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