問題解決! 知っておくべき『声と歌の法則』

音声生理学者*小山裕之

*あなたは正しい『音程』を保とうと意識すればするほど、
  声が硬くなったり、不安定になったりしていませんか?

 

~『音痴』からの卒業!~

【音程・フレージングコントロール】
・・・Part 1a:『法則・ノド(声帯)の仕組み』~どうなってるの~

 

Q.:よく『音程がぶら下がり(音程が低くなること)がちになるね~』
  と言われます。

  自分では正しい音程になっていると思っても、
  微妙に低くなっていることが多いようで・・・
  特に音程を保って長く声を伸ばすとき、音の前半より、
  後の方ほど音程が下がって不安定になってしまいます。

 

A.:お話の内容からすると、あなたの場合は
  まず『音痴』といわれるレベルではないですね。
  でもどんな症状にしても、指導者など、
  他の人に言われてしまうのは、とても気になることだと思います。

  歌うことが好きならば、当然これは切実な問題です。
  これから原因究明Part 1a & b・問題解決Part 1c に挑戦いたしましょう。

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今回Part 1a:は、どのような仕組からこのような症状が出てくるかを解説します。

Part 1a:『法則・ノド(声帯)の仕組み』~どうなってるの~

そして次回Part 1b:は原因『法則・ノド(声帯)と体の関係』~なんでそうなるの?~

次次回Part 1c:は『音程ぶら下がりの対策・方法』~どうしたらいいの?~

をお届けしていきます。
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A.:歌だけでなく、発音・発声、声にかかわることでは、
  他の事と同様、目に見える部分だけを過剰に意識しがちです。

  顔面、特に口周辺
  ・・・唇や口・アゴの開き方
  ・・・舌の形や位置、動かし方
  ・・・口の奥、舌根や上アゴ奥(軟口蓋)・ノドチンコ周辺の動き

  はたまた、笑顔の形が良いからといって、
  ・・・口の端(口角)や、ホオの筋肉を引き上げる

  はては、
  ・・・目を大きく見開いたままにして
  これなどはビックリした顔になり、度が過ぎると~不気味かも!

  上記のような、目に見えるところだけの顔面、
  まさに『上っ面』だけを意識・操作してもまともな効果は望めません。

  それどころか、かえってコントロールが悪くなり、
  問題解決にならないことがほとんど!

 

Q.:言われてみると、小学校の時から
  『大きく口を開けて歌いなさい』なんて教えられていたっけ。
  それに『笑顔の形の顔面』、確かに意識してるかも。

 

A.:ウ~ン、それどちらもまずい。
  『よく口を動かす』のは良いけれど、
  『大きく口を開けっ放し』で動きが止まるのはまずい。

  本物の笑顔は体中が動くのだけど、
  『顔面だけ』、特に口・ホオだけの意識では声にも問題出やすい!

  そこでその理由、まず大切な『法則』をいくつかお伝えします。

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【用語チェック】
  これから私が使う言葉で、『生理的』という表現が多く出てきます。
『生理的』・・・『体にとって無理がなく、健全・健康な状態』
  と思ってください。
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【法則1】
声帯で発せられた『振動・声』は、筋肉と骨格を通じて
全身に伝えることができ、広げること、増幅することができます。

 

『声』は首・前方の『ノド仏(喉頭の軟骨群)』の中にある、『声帯』という、
左右一対の筋肉のヒダが振動することによって発せられます。

『ノド自慢』などと言うように、
『声はノドから』出てくるという意識を、ふつうは持っています。
それで、『声』に関しては『ノド』のことばかりを気にする傾向があります。

 また、言葉の発音ということからも、声を出す場合、
『声の出口』としての『口』の存在感が大きいです。
しかし、『口』や『ノド』のことばかりを意識して、『口』や『ノド』周辺の
器官ばかりに頼っていては、豊かな声量も表現も望めません。

本来『声』は頭のてっぺんから足先、指先に至るまで
全身に伝えることができ、『鳴らす』ことが可能になるのです。
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さて、ようやく『音程』の問題に戻ります。

音程は第一に『声帯』によって作られます。
そして、上記のように体中の筋肉と骨格を通して広がっていくわけですが、

・・・・・・・・・・『覚えておくべきこと』・・・・・・・・・・
『声帯内部、およびノドの中で声帯の働きをコントロールしている筋肉群は、
口や鼻腔周辺をはじめとする頭部の数多くの筋肉と、胴体の数多くの筋肉、
とりわけ、呼吸にかかわる筋肉群と密接に連動している。』

これはまるで、複雑な電気回路の配線のように正確なつながりを持っています。
この連動には細部にいたるまで細かい法則性があります。

なんだか難しい話になってきました。細かくは次回に解説しますが、
この法則を解き明かすのが『音声生理学』なんです。

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声帯について(参考資料・図)・スライド・3 2 呼吸器系 – 咽頭・喉頭 – SlideShare
www.slideshare.net/threelotus/3-2-16116475
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《声帯とその周辺の発声器官の働き》

まあ、単純に『声帯の働き』という感じで大きく分けて整理してみます。

1:二枚・左右一対の『声帯のヒダ』を開け閉めする機能
  最重要・・・開きっぱなしで閉じられなければ声が出ないし、
  閉まりっぱなしで開かないと・・息が~できない!・・・

2:声帯内部の筋肉繊維のテンションを変える機能
  太鼓の皮が乾燥してハリが強くなると明るく高い音程の音になる。
  湿って皮が緩むと低い音程になる。これに少し似ています。
  声帯内部の筋肉群は太鼓よりもはるかに複雑な構造で、ハリを変化させます。
  この機能により、音程だけでなく、幅広い、多くの音色も作り出す。

3:ノド仏(喉頭)の軟骨群『声帯を支える外枠』を動かす機能
   ・・・声帯の機能を支え、幅広い声の変化を助ける機能
  太鼓にもしっかりと皮を張っておくための『外枠』があります。
  和太鼓などの太鼓は、外枠は固定されていますが、声帯の外枠は動くのです。
  
この上記第3番目の『外枠を動かす(広げたり狭めたりする)機能』は、

  a.【前上】アゴ・舌根(舌骨)への方向
  b.【前下】胸・胸骨上部への方向
  c.【後上】後頭部の方向
  d.【後下】首後下・背中への方向

の4方向に、声帯をくるむ『かご』のような喉頭(ノド仏)の軟骨群を引いている。

この4方向の綱引き具合で、声帯は引き伸ばされ、特に声帯先端がゴムを
引き伸ばした時のように薄く整えられ、きれいなツヤのある音色を作ります。

  この働き『外枠を動かす機能』がよく使われないと、
  高音域や最低音域のコントロールが不自由になり、

  この『外枠を動かす機能』が敏感に使われると、
  大きな音程の跳躍はもとより、音程の安定ももたらします。
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『音程の安定』— 気になりますね。続きは次回へ!
Part 1b:は原因『法則・ノド(声帯)と体の関係』~なんでそうなるの?~